■ 書  「ありがたい、もったいない 思いやり」2010.9.7

  随分前になりますが、鎌倉円覚寺の足立慈雲老大師様より、この書を頂きました。

 日本の伝統文化に興味をお持ちの海外の方が比較的多い私どもの宿ですので、仏像彫刻や、書、茶道、狂言といろいろと質問してこられるのですが、なんとしてもむつかしくて
説明できないのが宗教のことです。  もちろん、お伝えする知識も語学力もないわけですが・・・

 そのときに、老師様より頂いたこの、幼いころから耳にし、また日頃子どもたちにも言っている身近な言葉を思い出しました。
  「有難い、もったいない、思いやり」  こうして改めて言われて見ますと、本当にこころにひびいて外国の方にも何かしら伝わるのではないかしらと思い立ち、以前私どもの宿をご利用くださった先生に翻訳をお願いいたしましたところ、「とてもむつかしけれどやってみましょう。」と、快くお引き受けくださいました。

                        文章は以下の通りです

                          


   みほとけの教え             足立大進老師  文

 會って中国で、仏教は十三宗と言われた時代があり、日本でも幾多の宗派がある。
 その法門「八万四千」とも言われ、経文も五千四十余巻という。
 仏教はいったい何を説き、何を実践させる宗教なのか。
 
 明治・大正時代に、大内青巒というすぐれた仏教者があった。青巒居士は
  ありがたい。もったいない。おきのどく。
 この三つで仏の教えはすべて尽されていると喝破された。

 四十億年も昔に始まったこの地球の営み、その地球の上で、連綿と続いて来たこのそれぞれの生命。まことに有ること難き、掛け替えの無い生命。ひたすら「アリガタイ」。
 アフリカのマータイさんに指摘されるまでもなく、日本人の生活に染み込んでいる「モッタイナイ」。もったいない、もったいないとつましく暮してきた日本人。
 憂き世と言われ、お釈迦さまも、人生は苦と言われているこの世の中を、おたがいに、慰めいたわりながら生きていく、思いやりの心から「オキノドク」と、他人の悲しみや苦しみを、自分のことのように受けとめてきた日本人の心情。

 除夜の鐘に寺に集い、初詣では神社に、結婚は教会に出向いても、
    アリガタイ
    モッタイナイ
    オキノドク
 この三つの心を失わないかぎり、日本人の前途は明るく、世界を照らす灯であると信じます。

  
        英訳は次のコラム 「The Doctrines Of Buddha」
                    太田正利 訳
       


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